第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
side:ケビン
セルリアと交代して僕は、久しぶりの外に顔を出した。
如何やらバスに乗っているようだ、道が整備されていないのか揺れが激しい。

僕の隣にはギフトさんが座っていた。意外だ、てっきりドールさんと一緒だと思ってたのに...。


「何だい?その顔は、まさか隣にいるのが意外だった?」


ギフトさんは目を細めてそう言った。


「あ、はい...てっきりドールさんと一緒かと...。」


冗談じゃない、と言った感じでギフトさんは顔を歪めた。
そう言えばギフトさんはドールさんの事が苦手だったな、僕とした事がギフトさんを不機嫌にしてしまった。


「ケビン、君が落ち込む必要無いさ。其れに僕は機嫌を損ねてないよ。」


僕を見透かしたような台詞を口にする。
ギフトさんは本当に凄いな、尊敬するよ。


「言ってもないのに、解るんですね。」

「これくらいなら、君にだって出来るさ。...まだ目的地まで時間がある、休んでおくといいよ。」


ギフトさんが僕の頭を撫でる。
僕にお兄さんはいないけど、もしいたらこんな感じなのかな。何だか嬉しくて笑がこぼれた。

家族はもう居ないけど、この『Sicario』が僕の家族だ。とても居心地が良い、最高の家族だ。
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