第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
「さーて、まずは昼食でも済まそうかな。」


ギフトさんはそう言って、小さな喫茶店(?)のような場所を親指で指した。
僕達は異論する事無く、ギフトさんの意見に同意した。



喫茶店(?)には、ファーストフードなどの軽い食事がメニューに書かれていた。
僕達はメニューから適当に選ぶと、運ばれるまでの時間をたわいの無い会話で潰す事になった。


「其れにしても、どんな子なんだろうね。花吐き少女って」

「記事には写真載ってなかったんですか?」

「そうなんだよ。未成年らしくてね、名前すら載ってなかったよ。」

「...聞き込みから始まるね。」

「兄さんがいればすぐ見つかるよ♥ね、兄さん♥」


どんな子なんだろう、解っているのは少女という性別だけか...。
でも新聞に載った程だし、ましてや此処は少女のいる地元だ。すぐ見つかるだろう。
焦る事なんか無い、今回は依頼などでは無く僕達が興味で来たのだから...。


「まぁね。其れにケビンもいるんだ、見つからない方がおかしいよ。」

「そ、そんな、僕何も出来ないですよ。」


両手を目の前で振りながら、否定の言葉を口にする。
ディーブ君が僕のコートを掴む。


「大丈夫...ケビン、凄いから。其れに、守るから...。」

「あ、ありがとう。」


ディーブ君は戦闘向きじゃないって、セルリアから聞いた気がするんだけどな...。
しかも年下に守られるってのは、年上として如何なのだろうか。

その前に“守る”って、今回は何も無いと思うよ...多分。
そんな話を続けていると、ウエイトレスが頼んだ食事を運んで来た。
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