第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
少女が住んでいる小屋は、村はずれの林の中だった。
林の中には幾つもの木漏れ日が射し込んでおり、心落ち着く風景となっている。
都心ではまずお目にかかる事の無い、この美しい風景を僕は自身の眼(まなこ)に焼き付けていった。

このような風景はそう多く見られるものではない。僕の体が“これ”なら尚更だ。
少しでも多く鮮明に憶えておきたい、そうすれば何時でも見る事が出来るから。

自分の記憶力の良さはこういう時に、心底役に立つと思っている。
自慢とか他人に対しての嫌味などではなく、唯この脳に感謝をしているだけだ。



先頭を歩いているギフトさんの兼ディーブ君が足を止めた。
僕とドールさんもギフトさんとディーブ君が、見ている先を見た。
其処には、小柄で色素の薄い、哀愁漂う少女がいた。
“いた”という表現はいささか不自然だ、失礼...少女が小さな花壇に水を蒔いていたのだ。

恐らくこの少女が僕達の探していた、〝マーシャル〟という人物だろう。
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