第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
俺達は情報屋の元に向かう為に、電車で
10分かけて元の場所に戻った。
あれ程落ち込んでいたギフトも、いつの間にか笑顔に戻っていた。

電車を降りると、俺は人が多い中心街の方へ足を運んだ。
ちゃんと後ろからは、ギフトがついて来ている。
俺は街道沿いにある一際狭い通路に入った。路地裏に繋がっているこの通路は、先程までの街道と違い薄暗い。


「ねぇ〜セルリア。本当に会えるの〜?」

「...いいから黙ってついて来いよ。」


俺は振り向きもせずにギフトに言った。
後ろから「ケチ〜」と言っているのが聞こえた。
暫く入り組んだ道を歩いていると、少し開けた所に出た。
其処に厚着をした少年と思われる人がゴミ溜めの中に座っていた。
少年は俺たちに気付いて、手を振った。
俺も手を振り返す。
ギフトは不思議そうに、俺と少年を見比べていた。


「ねぇねぇ、何やってんの?」


ギフトが小声で俺に言ってきた。
俺も小声で返す。


「此奴が情報屋だ。ガキに見えるけど、俺より年上だ。」


俺の言葉が信じられないのか。ギフトは目を見開いた状態で、硬直している。


「セルリア、少し遅かったな。もうちょっと早く来ると思ってたんだけど...。」

「ちょっと面倒な連れがいるっつっただろ。おい、ギフト!何時まで固まってんだよ!!」


漸く我に戻ったのか、何時もの笑顔になる。


「失礼...僕はギフト・ラーベスト。以後お見知りおきを。」


胡散臭いと内心思った。完全に猫をかぶっている。


「僕はデイ。こう見えても24歳なんだ。」

「...5歳差。」


ギフトの笑顔が引き攣ったのは言うまでも無い。
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