第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
「そんな事言ってー、本当は照れてるんでしょ〜。」

「潔癖症の癖に、何で俺に抱きつくんだよ。」

「セルリアは特別なの!!」

「ケビンの握手は拒否っただろーが。」


アヴァンは反論出来ないようで、口を閉ざした。
何が特別だ、気持ち悪い事言いやがって...。

蚊帳の外になっていたギフトが会話に入り込んで来た。
軽く忘れかけてたぜ、悪ぃ。


「そろそろ夕飯だけど、アヴァンも一緒に食べるかい?」

「マジで!?良いの!!」

「良いよ。食事には華が必要だろ。」

「ギフトは言葉が上手いな〜。」


マジかよ...。
俺は両眼を左手で覆いながら、大きくて長い溜息を吐いた。

ギフトがベッドから立ち上がると部屋から出て行った。俺もギフトに続いて部屋から出た。
如何やら部屋は2階にあったようだ。踊り場にはドールとディーブの姿があった。
この宿には食事は無いらしく、外で済ませるしかないみたいだ。

ギフトは聞き込みの途中に料理店を見つけていたようで、俺達は其処に向かう事にした。
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