第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
side:ケビン
暗いくらい闇の中...体を使う事が出来ない僕はただただ歩いていた。
歩いたからと言って、別に何かがあるわけでもない。
何も無いから歩くのだろう。
一寸先も見えない筈なのに恐怖なんて感情は無く、不思議と安心感に満ち溢れている。
セルリアのおかげかな、なんて少し女々しい事を考えてみる。
突然何も無い筈のこの空間で何故か足を掴まれた。
その拍子で僕は顔面から倒れた。
余りの驚きで僕は声すら出なかった。
今だに掴まれている足へと視線を向ける。
-其処には見た事の無い男の人が倒れていた。-
黒の短髪で外にはねている。
其の人は顔を上げたが、目が殆ど前髪で隠れており微かに見える瞳は澄んだ黒曜石の様だった。
男は僕に問いた。
“おめぇ、セルリア知んねぇーか?”
“へっ?”
男から出たセルリアの名前に僕は同様を隠せなかった。
“ど、どなたですか...?”
“名前はねぇよ。
セルリアには〝ムッシュ〟って呼ばれてるだ”
誰だ...?
そもそも此処は精神の中の筈。
知らない人がいる時点で既におかしい...。
“僕はケビンです。貴方は何者なんですか?”
“何者もねぇよ、おめぇだ。ケビンって言うだな。
初めて知っただよ、主人格の名前さ。”
“えっ?...エエェェェッ!!!?”
僕は訳が解らなくなった。
暗いくらい闇の中...体を使う事が出来ない僕はただただ歩いていた。
歩いたからと言って、別に何かがあるわけでもない。
何も無いから歩くのだろう。
一寸先も見えない筈なのに恐怖なんて感情は無く、不思議と安心感に満ち溢れている。
セルリアのおかげかな、なんて少し女々しい事を考えてみる。
突然何も無い筈のこの空間で何故か足を掴まれた。
その拍子で僕は顔面から倒れた。
余りの驚きで僕は声すら出なかった。
今だに掴まれている足へと視線を向ける。
-其処には見た事の無い男の人が倒れていた。-
黒の短髪で外にはねている。
其の人は顔を上げたが、目が殆ど前髪で隠れており微かに見える瞳は澄んだ黒曜石の様だった。
男は僕に問いた。
“おめぇ、セルリア知んねぇーか?”
“へっ?”
男から出たセルリアの名前に僕は同様を隠せなかった。
“ど、どなたですか...?”
“名前はねぇよ。
セルリアには〝ムッシュ〟って呼ばれてるだ”
誰だ...?
そもそも此処は精神の中の筈。
知らない人がいる時点で既におかしい...。
“僕はケビンです。貴方は何者なんですか?”
“何者もねぇよ、おめぇだ。ケビンって言うだな。
初めて知っただよ、主人格の名前さ。”
“えっ?...エエェェェッ!!!?”
僕は訳が解らなくなった。