第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
「やぁ!!昨日ぶりだね!シーヴァールーくーん!!
この現状を見れば解ると思うけど、君の企みは失敗だ。
其処で僕は“もてなし”をしてくれた君に“返し”をしようと思うんだ。
勿論...、受け取ってくれるよね?」

「巫山戯るなッ!!勝手に俺等の事調べてやがって!当然の報いだッ!!」


両手をナイフで貫通したのに、随分と元気な奴だ。
ギフトはシヴァルの顎を右手で掴み、口を黙らせると金の目で鋭くシヴァルを見下ろす。


「...巫山戯(ふざけ)ているのは、君等だ。
図に乗った台詞を言い続けるならば、それなりの覚悟をするんだな。
其れと僕は君のような輩が大っ嫌いだ。殺したいのなら、自分自身で来い...。
マーシャルは元は関係の無い人間だった、なのに君が自分の為に引きずり込んだんだ。
よーく考えろ。...巫山戯ているのはどっちだ?」


そう言うとギフトはシヴァルから手を離した。
血が滴れているのが見えるが、ギフトは気付いていない様で、何食わぬ顔で立ち上がった。

続いてギフトは床に倒れているマーシャルの上体を起こし、自らが背もたれの様にマーシャルの背後に座った。


「マーシャル、起きてる?」


ギフトの問いにマーシャルは微かに頭を動かした。


「よし!じゃー此れから君を、こんな姿にする事になった原因のシヴァル君に、“罰”を与えるよ。
ちゃんと見ておくんだ。いいね?」


顔を伏せ嫌がるマーシャルの頭をギフトは両手で掴むと、無理矢理シヴァルへと向けた。
其れでもマーシャルは目を閉じて抵抗する。
ギフトは器用な手付きで、人差し指と中指を使いマーシャルの目を強制的に開かせる。


「セルリア、シヴァル君の指を1本ずつ落としてくれ。」

「はいよー。...ドール、押さえるの手伝ってくれ。」

「良いよ!」


シヴァルを俯(うつぶ)せにして、体をドールに押さえてもらった。
まず、右手を伸ばさせるとマーシャルの視界の邪魔にならないようにして座った。


「始めるぞ。」

「どうぞ!早く始めてくれ。」
< 165 / 277 >

この作品をシェア

pagetop