第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
「さぁマーシャル!!此れからこのネイルハンマーで、シヴァルの頭を砕いていこうじゃないかッ!!」


マーシャルは首を横に振り、残っている僅かな力で抵抗する。
僕は其れを無視して、マーシャルの手を少し強く握ると、少し力を手加減してシヴァルの頭を打った。
骨の砕ける音と、シヴァルの悲鳴が混じる。


「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」


ネイルハンマーで打ったシヴァルの頭は、骨が砕けた所為で凹んでいた。目が眼窩(がんか)から出掛けており、血の涙が少し流れている。
顔の穴という穴から血が流れている。

此れは次で終わるな...。
僕は面白くてついニヤけてしまった。

マーシャルは更に涙を流して、余り原型を留めていないシヴァルを唯見つめていた。


「次で最後かな。はい、ドーン!」


呆然としているマーシャルの腕を動かした。

シヴァルの悲鳴は無く、脳味噌の潰れる音が聞こえた。
頭の上半分が潰れ、其の中から脳味噌の破片が少し見える。
目は有るべき場所から飛び出ており、鼻や耳、口から血が流れている。

見て解る通り、シヴァルは死んだ。
見るも無惨な形で...。


「死んだ、死んだ。楽しかったね。」

「意外と呆気なくてつまんねぇー。」

「セルリア、結構楽しそうに指切ってたじゃないか。」

「まぁまぁな。...で、どーすんだ?そいつ。」

「決まってるじゃないか、殺すよ。」


僕はネイルハンマーを取り上げ、マーシャルを床に投げた。
皆を見回して、僕は笑顔を作る。


「誰が殺る?因みに僕は誰でも良いよ。」

「俺もギフトと同じだ。」

「兄さんが殺れって言ったら殺るよ♥」

「...面倒臭い。」

「じゃ~僕とセルリアでじゃんけんね。」

「おい待て!何でそーなるんだよ!?」

「誰でも良いって言ったじゃないか。」


セルリアは何も言えずに黙る。自分で墓穴掘ったようなものだけど。


「ほら、いくよー。じゃんけん、ぽん!」


嫌々ながらセルリアが出したのはチョキで、僕はパーだった。
嗚呼、負けちゃった...。


「じゃ、セルリアだね。」

「へいへい...。」


随分と面倒臭そうにマーシャルへ歩み寄った。

口元に笑みを浮かべて...。
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