第1巻 Sicario ～哀しみに囚われた殺人鬼達～
あれからバーサルトに部屋を片付けさせ、大量の荷物と共に家から追い出した。
だが、バーサルトは玄関を閉じる前に爪先と手の指を滑り込ませて其れを阻止した。

玄関を閉めるギフトと、玄関を開けようとするバーサルトの所為で、玄関が悲痛の叫びを上げている。


｢如何言う事かな...?バーサルト。｣

｢用事があるのですよ。...そう簡単に引き下がれません。｣


バーサルトが俺達に用事があるなんて珍しいな。何時もは意味も無く此処に来る癖に。
バーサルトが荷物を落とす音が聞こえたと思った矢先、バーサルトは玄関の僅かな隙間に腕を伸ばした。


｢わたしの友達として教会に来てくれませんか!?｣


バーサルトの必死の懇願とは別に俺達は放心状態となった。

バーサルトがこんな必死と言う事はきっと教会のガキ共に頼まれたからだろう。
ろくに友達なんかいない癖に...、ガキに弱いのか。


｢頼みます!子供達が貴方達と仲良くなりたいと言っているのです!!お願いします!｣


バーサルトが勢い良く玄関を開ける。玄関を閉めようとしていた、ギフトの手は弾かれ体が傾いた。

呆れたような顔でギフトは左手を腰に当てた。
右手で米神を押さえながら溜息を吐いている。


｢あのね...。僕等は殺し屋なんだよ、子供とわいわい出来る程優しい人じゃない。｣

｢大丈夫です。貴方達は私の知り合いの中で最も悪い者達ですが人間性は良い人達だと思っています。｣


俺達の何処が良い人間性なんだ...。
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