第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
“約束だがんなぁ。おめぇの許可さえあれば、外に出られるだぁ。”
“長時間は出さねぇーけどな。”
“そんでも嬉しいだ。あんがどよ。”
ムッシュが俺にハグをする。年上の男からハグされても嬉しくない。
しかも俺より大きい体格なので、俺はムッシュに押し倒された。
体制的に俺が下になる。止めろ、俺にそういう趣味は無い。
“離れろッ!!気持ち悪ぃだローがッ!!”
“水ぐせぇ事言うな。年下は年上にまかれでろ。”
“むさ苦しいんだよ!!”
“おめぇ、顔整ってんがらむさ苦じくねぇだ。”
“俺がむさ苦しいっつってんだろッ!!!”
ムッシュの腹を足で押す。両腕は残念ながら、ムッシュのハグにより使えない。
押すだけでは引き離す事が出来ないので、右、左と交互にムッシュの腹部を蹴り上げる。
ゲロでも吐きそうな声を上げて、ムッシュは俺から離れた。自業自得だ。
ムッシュは腹を押さえながら、身を縮めている。
暗闇で縮めた体を左右に転がしている。
“い゙、痛ぇだ...。”
“さっさと離れれば良かったんだ。”
“横暴な...。おめぇ、女にモテねぇだろ゙。”
腹をさすりながら、ムッシュは漸く体を起こした。
そんな強く蹴った覚えは無いのだがな...。必死だった所為か。
悪いとは思っても謝る気はないけどな。
“残念だったな。割りとモテるし、結構声掛けられるだぜ。”
“ワタシの時、んな事無かっだっだぁよ。”
“中身の違いだな。”
“んな不公平な゙...。”
ムッシュはかなり落ち込んだ様だ。
今だに痛む腹をさすりながら、ムッシュは俺の胸に頭を擦り付ける。
スキンシップが多いな、以前はこんなに俺に触れる事は無かったのに...。
此奴なりに少し変わったのかもしれないな。
“やたら俺に触るな、如何かしたのか?”
“おめぇとごんなに話しだのが嬉しいだ。其れだけだぁ。”
“そーかよ。”
俺と話して何が嬉しいのだろうか。よく解らないな。
俺は他人を嬉しくさせる様な事を言った覚えはない。何が他人をそう思わせるのだろうか。
解らない、俺には解らない。
ムッシュは俺の太腿(ふともも)に頭を置いた。いきなり乗せられたので、少し太腿が痛い。
長い前髪の間から覗く黒曜石の様な瞳が、真っ直ぐ俺を捉える。
“長時間は出さねぇーけどな。”
“そんでも嬉しいだ。あんがどよ。”
ムッシュが俺にハグをする。年上の男からハグされても嬉しくない。
しかも俺より大きい体格なので、俺はムッシュに押し倒された。
体制的に俺が下になる。止めろ、俺にそういう趣味は無い。
“離れろッ!!気持ち悪ぃだローがッ!!”
“水ぐせぇ事言うな。年下は年上にまかれでろ。”
“むさ苦しいんだよ!!”
“おめぇ、顔整ってんがらむさ苦じくねぇだ。”
“俺がむさ苦しいっつってんだろッ!!!”
ムッシュの腹を足で押す。両腕は残念ながら、ムッシュのハグにより使えない。
押すだけでは引き離す事が出来ないので、右、左と交互にムッシュの腹部を蹴り上げる。
ゲロでも吐きそうな声を上げて、ムッシュは俺から離れた。自業自得だ。
ムッシュは腹を押さえながら、身を縮めている。
暗闇で縮めた体を左右に転がしている。
“い゙、痛ぇだ...。”
“さっさと離れれば良かったんだ。”
“横暴な...。おめぇ、女にモテねぇだろ゙。”
腹をさすりながら、ムッシュは漸く体を起こした。
そんな強く蹴った覚えは無いのだがな...。必死だった所為か。
悪いとは思っても謝る気はないけどな。
“残念だったな。割りとモテるし、結構声掛けられるだぜ。”
“ワタシの時、んな事無かっだっだぁよ。”
“中身の違いだな。”
“んな不公平な゙...。”
ムッシュはかなり落ち込んだ様だ。
今だに痛む腹をさすりながら、ムッシュは俺の胸に頭を擦り付ける。
スキンシップが多いな、以前はこんなに俺に触れる事は無かったのに...。
此奴なりに少し変わったのかもしれないな。
“やたら俺に触るな、如何かしたのか?”
“おめぇとごんなに話しだのが嬉しいだ。其れだけだぁ。”
“そーかよ。”
俺と話して何が嬉しいのだろうか。よく解らないな。
俺は他人を嬉しくさせる様な事を言った覚えはない。何が他人をそう思わせるのだろうか。
解らない、俺には解らない。
ムッシュは俺の太腿(ふともも)に頭を置いた。いきなり乗せられたので、少し太腿が痛い。
長い前髪の間から覗く黒曜石の様な瞳が、真っ直ぐ俺を捉える。