第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
「強行手段だぁ?巫山戯(ふざけ)んなよ、ガキ。」
「仕方無いの...。女王の命令は絶対だから。」
女の子が俺を横で見ながらそう言う。
「そう、あたしの命令は絶対。白ウサギ、あんたも例外じゃないわ。」
俺の耳元で女の声が聞こえた。妙に艶やかで色気のある声だ。
振り返ると緋いドレスに身を包んだ黒髪の女が立っていた。カラコンでも入れているのか、其の瞳は緋く輝いる。
「案外、綺麗な顔立ちしてるのね。」
「誰だ手前ェ...。」
女は俺の頬に手を添えながら、優しく微笑んだ。
俺の鼻先に自身の鼻先を触れさせると、緋い口紅を付けている唇を動かした。
「あたしは〝ハートの女王〟。白ウサギ、あんたが仕えている人だよ。」
「仕えてねぇーよ。...手前ェになんか。」
「『不思議の国』では仕えてるの。そうだろう、アリス。」
アリスと呼ばれた女の子は、兎のぬいぐるみを抱きながら、深く1度だけ首を立てに振った。
「白ウサギは其の人の中にいる。白ウサギは其奴(そいつ)じゃない。」
「へぇ、あんた二重人格なの?其れ共演技?」
「答える義理はねぇー。」
「冷たい男...でも、嫌いじゃないわ。むしろ燃えるもの、如何したら振り向いてもらえるのかしら。」
ハートの女王と自称する女は、俺にベタベタと触ってくる。
悪い気はしないが、正直邪魔だ。
そんな事より俺は気になる事があった。
「おい、ガキ。何であいつの事知ってんだ?」
「...見てたから。」
「はぁ?」
「夜、そう今日みたいな日...貴方は貴方じゃ無くなった。貴方は白ウサギになったの。
純粋で無垢で汚れを知らない...とても白い白ウサギに...。」
夜、俺が殺し終った後を見ていたのか。
帰りがけに何度か唐突に入れ替わった事はあるが、まさか其の瞬間を見て更に別人格になった事を、見破ったと言うのか...。
どんな観察眼の持ち主だよ。
「仕方無いの...。女王の命令は絶対だから。」
女の子が俺を横で見ながらそう言う。
「そう、あたしの命令は絶対。白ウサギ、あんたも例外じゃないわ。」
俺の耳元で女の声が聞こえた。妙に艶やかで色気のある声だ。
振り返ると緋いドレスに身を包んだ黒髪の女が立っていた。カラコンでも入れているのか、其の瞳は緋く輝いる。
「案外、綺麗な顔立ちしてるのね。」
「誰だ手前ェ...。」
女は俺の頬に手を添えながら、優しく微笑んだ。
俺の鼻先に自身の鼻先を触れさせると、緋い口紅を付けている唇を動かした。
「あたしは〝ハートの女王〟。白ウサギ、あんたが仕えている人だよ。」
「仕えてねぇーよ。...手前ェになんか。」
「『不思議の国』では仕えてるの。そうだろう、アリス。」
アリスと呼ばれた女の子は、兎のぬいぐるみを抱きながら、深く1度だけ首を立てに振った。
「白ウサギは其の人の中にいる。白ウサギは其奴(そいつ)じゃない。」
「へぇ、あんた二重人格なの?其れ共演技?」
「答える義理はねぇー。」
「冷たい男...でも、嫌いじゃないわ。むしろ燃えるもの、如何したら振り向いてもらえるのかしら。」
ハートの女王と自称する女は、俺にベタベタと触ってくる。
悪い気はしないが、正直邪魔だ。
そんな事より俺は気になる事があった。
「おい、ガキ。何であいつの事知ってんだ?」
「...見てたから。」
「はぁ?」
「夜、そう今日みたいな日...貴方は貴方じゃ無くなった。貴方は白ウサギになったの。
純粋で無垢で汚れを知らない...とても白い白ウサギに...。」
夜、俺が殺し終った後を見ていたのか。
帰りがけに何度か唐突に入れ替わった事はあるが、まさか其の瞬間を見て更に別人格になった事を、見破ったと言うのか...。
どんな観察眼の持ち主だよ。