第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
体を揺らされる感覚と名前を呼ばれている声で、目が覚めた。
声の主はディーブだった。不機嫌そうに俺を睨んでいる。
まだ寝惚けている頭をどうにかして、覚醒させる。
隣に視線をやるが、女性がいない。
どうやら俺は、相当寝ていたようだ。


「そんなに熟睡出来るなら、大丈夫だね。...ぼくは診ないよ。」

「それもそうだな。ある程度頑丈で良かった、良かった。」


ふと自分の手が視界に入った。手にはガーゼや、包帯が施されていた。
俺はディーブの頭を撫でた。


「ちゃんと、やってくれてんじゃねぇーか。」

「五月蝿い。...気が向いただけ。」


ディーブは俺の手を払うと、そっぽ向いて部屋から出ていった。
女性もいないところを見ると、寝ていた俺を気遣ったのだろう。
何時も素直にしていれば良いのにな。
俺もディーブの後に続いて、部屋から出た。
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