第1巻 Sicario ～哀しみに囚われた殺人鬼達～

リビングに行けば、皆が集まっていた。テーブルには簡素ながらにサンドイッチが置かれている。
女性は少し馴染めたのか、最初より表情が柔らかい気がする。


｢やぁ、セルリア!おはよう!!気分はどうかな?｣

｢体痛ぇ...。｣


俺は自分の定位置にある椅子に腰掛けた。
ギフトが紅茶の入ったティーカップを俺に渡しに来た。
俺はそれを受け取ると、1口啜った。
ギプスをつけ、左腕が包帯で白くなっているドールが、俺を笑顔を向けた。


｢アハハ〜ごめんね。セルリア〜｣

｢お前、謝る気無いだろ。｣

｢当たり前じゃん。何で兄さん以外に頭下げなきゃいけないの?殺すよ。｣


瞳に光が無い。そんなに俺に謝ることが嫌だったのか。そもそも謝ったうちに入らないがな、あれは。
ふと窓の外を見れば、辺りは暗くなっていた。


｢あ、あの...怪我大したことなくて、良かったです...。｣


女性は俺の傍に近付いてそう言った。
出会った時からそうだが、本当にお人好しだな。
女性は巻き込まれた側なのに、やたらと俺を心配してくる。
迷惑とかそういうものじゃないが、少しおかしくは無いだろうか。
自分に怪我お負わせた男に心配などするのだろうか。
考えたところで、俺には解らなかった。


｢あんたも酷くなくて良かったな。...もう暗い、そろそろ家に帰ったらどうだ?｣

｢はい、そうさせてもらいます。｣


女性は皆に御礼を一言言って、帰って行った。
帰り際、ギフトが女性の1人歩きは危ないと言ったが、近くなので大丈夫と言って女性は玄関から出て行った。