第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
「何か解ったかよ。」
「んフフ~僕の予想通り♪だけど...誰だ。白ウサギって...?」
「珍し!お前にも解んねぇー事があんだな。」
「僕も一応人の子だからね。」
俺はギフトを同じ人間だと、思った事は無いがな。
普通そうだろ。
あんな化け物みたいな人間と、殺しが取り柄の人間を一緒だと思えるか。俺は全くそうは思わない。
つか、思えない。
「『不思議の国』も、また絶妙な時間帯に乗り込んだものだよ。」
「何時(いつ)乗り込んだんだよ?」
「アハハ!!セルリア、君は本当に救えない馬鹿だな~。解るだろ、普通に。」
何時もの人を嘲笑した笑いが、俺の目の前に現れた。
俺が馬鹿な事は自覚してんだよ。
余計な世話だっつーの。
「まぁ、安心しなよ。そんなセルリアでも解り易いように、僕が説明してあげるからさ。」
ギフトは俺の額を指で押した。
完全に俺で遊んでやがるな。三十路野郎が...。
ギフトは自身の椅子に、腰を掛けると、堂々と其の“説明”とやらを始めた。
「最初に僕が言った“絶妙な時間帯”の事から説明しよう。率直に言うならこの時間帯は“朝”だ。」
「朝の何処が絶妙な時間帯なんだよ。寧ろ、夜とかじゃねぇーのか?」
ナタリアが疑問を投げ掛ける。
まぁ、ナタリアは割りとすぐ口に出す方だから、ギフトも特に不服そうな表情を見せなかった。
「普通はナタリアが言う様に、夜かもしれない。だけど伯爵は違う。伯爵は逆に夜は殺りづらいんだよ。」
「人間のオークションですね!!マスター!!」
ギフトがファクトに人差し指を向ける。
「そう!フェスターニャは察しが良いね!!」
テンションが上がってきたのだろうか。ギフトの目が先程より輝いて見える。
ファクトはギフトに褒められ、其れは其れは幸せそうな顔だ。
相反してドールはファクトを、睨み付けている。褒めて貰いたいのなら、ギフトの機嫌を取れば早い話だろ。
「フェスターニャが言ってくれた通り、伯爵は人間のオークションに夜な夜な行っている。
これは彼の性癖からしても、頷けるものだ。まぁ、僕は子供より眼球の方が大好きだけど。
で、言わば『不思議の国』は、伯爵のオークション帰りを狙ったんだ。
または、“朝”...気の引き締まっている様で、そうではない。そんな絶妙な時間帯を選択したんだ。
だから僕は“絶妙な時間帯”と言ったんだよ。」
「流石兄さん♥凄い推理だよ♥♥」
ドールはギフトに抱き着きながら、猫撫で声でそう言った。
一瞬、ギフトの眉間に皺が寄ったが、すぐに何時もの笑顔に戻った。
相変わらず切り替えが早い奴だ。
俺の場合はアヴァンだが、そんな切り替えをする筈もなく、ずっと不機嫌なままだ。
泡良くば頭を損傷させて、気絶した隙に逃げようとまで考えている。
いや、だって普通に早く解放されたいだろ。
別に酷くは無いさ。向こうが悪いんだ。
「穢らわしい身体でマスターに触れるな!!」
「ファクトは他人でしょ!!ボク等は血の繋がった兄弟なんだからね!!」
左をドール、右をファクトに引っ張られ、ギフトの体は今にも引き裂かれそうだ。
しかし当の本人は、痛みを全く感じない為、言わずもがな笑顔だ。
「2人共、僕を引っ張るのは止めようか。
仮でも僕、怪我人だから...。」
「んフフ~僕の予想通り♪だけど...誰だ。白ウサギって...?」
「珍し!お前にも解んねぇー事があんだな。」
「僕も一応人の子だからね。」
俺はギフトを同じ人間だと、思った事は無いがな。
普通そうだろ。
あんな化け物みたいな人間と、殺しが取り柄の人間を一緒だと思えるか。俺は全くそうは思わない。
つか、思えない。
「『不思議の国』も、また絶妙な時間帯に乗り込んだものだよ。」
「何時(いつ)乗り込んだんだよ?」
「アハハ!!セルリア、君は本当に救えない馬鹿だな~。解るだろ、普通に。」
何時もの人を嘲笑した笑いが、俺の目の前に現れた。
俺が馬鹿な事は自覚してんだよ。
余計な世話だっつーの。
「まぁ、安心しなよ。そんなセルリアでも解り易いように、僕が説明してあげるからさ。」
ギフトは俺の額を指で押した。
完全に俺で遊んでやがるな。三十路野郎が...。
ギフトは自身の椅子に、腰を掛けると、堂々と其の“説明”とやらを始めた。
「最初に僕が言った“絶妙な時間帯”の事から説明しよう。率直に言うならこの時間帯は“朝”だ。」
「朝の何処が絶妙な時間帯なんだよ。寧ろ、夜とかじゃねぇーのか?」
ナタリアが疑問を投げ掛ける。
まぁ、ナタリアは割りとすぐ口に出す方だから、ギフトも特に不服そうな表情を見せなかった。
「普通はナタリアが言う様に、夜かもしれない。だけど伯爵は違う。伯爵は逆に夜は殺りづらいんだよ。」
「人間のオークションですね!!マスター!!」
ギフトがファクトに人差し指を向ける。
「そう!フェスターニャは察しが良いね!!」
テンションが上がってきたのだろうか。ギフトの目が先程より輝いて見える。
ファクトはギフトに褒められ、其れは其れは幸せそうな顔だ。
相反してドールはファクトを、睨み付けている。褒めて貰いたいのなら、ギフトの機嫌を取れば早い話だろ。
「フェスターニャが言ってくれた通り、伯爵は人間のオークションに夜な夜な行っている。
これは彼の性癖からしても、頷けるものだ。まぁ、僕は子供より眼球の方が大好きだけど。
で、言わば『不思議の国』は、伯爵のオークション帰りを狙ったんだ。
または、“朝”...気の引き締まっている様で、そうではない。そんな絶妙な時間帯を選択したんだ。
だから僕は“絶妙な時間帯”と言ったんだよ。」
「流石兄さん♥凄い推理だよ♥♥」
ドールはギフトに抱き着きながら、猫撫で声でそう言った。
一瞬、ギフトの眉間に皺が寄ったが、すぐに何時もの笑顔に戻った。
相変わらず切り替えが早い奴だ。
俺の場合はアヴァンだが、そんな切り替えをする筈もなく、ずっと不機嫌なままだ。
泡良くば頭を損傷させて、気絶した隙に逃げようとまで考えている。
いや、だって普通に早く解放されたいだろ。
別に酷くは無いさ。向こうが悪いんだ。
「穢らわしい身体でマスターに触れるな!!」
「ファクトは他人でしょ!!ボク等は血の繋がった兄弟なんだからね!!」
左をドール、右をファクトに引っ張られ、ギフトの体は今にも引き裂かれそうだ。
しかし当の本人は、痛みを全く感じない為、言わずもがな笑顔だ。
「2人共、僕を引っ張るのは止めようか。
仮でも僕、怪我人だから...。」