第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
左肋をやられているのか、彼はそこを抑えつつ起き上がった。
彼と僕の間にフェスターニャが入る。
相変わらず警戒心高いな。
彼は攻撃なんて仕掛けてないじゃないか。
「怪しい動きはするな。すれば直ちに撃ち殺す。」
「おや、怖いですね。攻撃なんかしませんよ。
其れより白杖と、サングラスは何処ですか?」
「君より少し離れた所にあるよ。で、名前は?」
「取ってくれると言う親切心は無いんですね。」
「だって取ってって言ってないもん。」
僕は彼が質問した事に対して答えたんだけど。不満があったのかな。
「名前でしたっけ?わたしは〝サイレント〟です。」
「やっぱり?僕の正解だね、フェスターニャ!」
「マスター何も言ってませんよ。」
「あれ?そうだっけ?」
僕とした事がうっかりうっかり。
「本名は?通り名なんか如何でもいいんだよ。」
「貴方にそこまで教える義理ありませんよ。」
「マスターに逆らうなッ!!」
フェスターニャがサイレントの胸を足で蹴り倒した。
もっと丁重に扱おうよ。
フェスターニャは彼の胸を足で踏み付けている。彼は苦痛の表情を浮かべた。
犬や猫じゃないんだから...。
彼も痛がってるよ。ソフトにいこうよ。
「乱暴な、方ですね...。言葉使いも、其れでも女ですか?」
「お前に言われる筋合いは無いッ!!
ま、マスター、言葉使いならちゃんと、その内、直しますから!!」
「僕に言われても...」
苦笑いをこぼしながら僕は後頭部を掻いた。
「足を退けなよ。彼が苦しがっているじゃないか?」
「はい、マスター。」
フェスターニャは笑顔で足を退かしてくれた。
僕に笑顔を向けられても...。
「躾がなっているようで何よりです。」
「それ程でも~。」
「褒めてませんよ。」
冷ややかな目で見られた。だけど僕がいる場所より少し左に逸れてる。
完全に見えてないね。これは。
見えていようがいまいが、僕には関係ない。
重要なのは瞳の美しさだ。
「本名は?」
「貴方本当に話し聞いてませんね。話さないとまた蹴られるんですか?わたしは...」
「痛みが嫌なら楽にしてあげようか?」
フェスターニャ、顔が悪人その者だよ。
「恐ろしい女性ですね。」
サイレントは返しが逸品だ。面白いね、アハハ。
「名前、でしたっけ?わたしはモガル・クラストです。
もう言いましたし、痛い事されるのは御免ですよ。わたしはマゾヒストではないので...。」
両手を上げて彼は言った。
僕はマゾヒストなんて趣味じゃないからね。まず男って時点で範囲外だから。
僕は(目が綺麗な)女の子が好きなんだよ。
「モガル・クラスト...OK、覚えた。
君は指図めキャロルの護衛人かい?」
僕は頭の中に彼の名前を記録しながら聞いた。
聞くなんて行為しなくても、僕が考えている事は十中八九当たってるけどね。
でも、一応聞いておくって言うのが礼儀だったりするもんだろ。
僕はモガルと仲良くなりたいからね。
手順はしっかりと踏むつもりだよ。
「まぁ、そんなところです。けど、如何しましょうかね。これから...。」
モガルは少し巫山戯た口調で言った。
冗談交じりに会話する程度の元気はあるみたいだ。
結構、結構。元気は何事にも必要だ。
「よしじゃぁ、僕にクライアント(※雇い主)を変えなよ。」
フェスターニャを押し退けて僕はモガルの両手を握り締めた。
「ちょ、マスター!?何言ってるんですか!!」
フェスターニャが、驚いた顔で僕を見ている。
何も驚く事は無いだろう。
モガルも見えない目を見開いている。そんなに見せつけられるとゾクゾクするじゃないか。
失禁したら如何するんだい。着替えなんか無いんだよ。
嗚呼でも其の瞳がそうしろって言うなら、其れもまた一興なのかもしれないね。
「息が荒くて気持ち悪いですよ。」
「其の瞳でSMプレイかい?其れは良いね...あ、公然の場で羞恥プレイかい?またマニアックだな~君は。」
「わたしの目がなんですか?其れとそんな事一切口にしていませんが。」
「君は自分の目の美しさを知らないのか!!」
「何を言っているのか、いまいち解らないんですけど...。支離滅裂とはまさにこの事ですね。」
あれ、僕は今モガルに呆れられているのか。
まぁいいか。僕には関係無いしね。
僕はモガルの鼻先に自分の鼻先を近付けて、美しい星眼を覗き込んだ。
「僕は君(の目玉)が欲しい!!今すぐクライアントを僕に変えろッ!!これは命令だッ!!君に拒否権は存在しない!!!」
「マスター...。」
「貴方って人は...わたしは道具か何かなんですか。」
「君は僕のコレクションさ。」
モガルは深い溜息を吐いた。
これは脈あり。
「解りました。生きる為には此方側が得策の様です。」
「利口な奴は好きだよ。」
「サイレント...、マスターに危害を加えてみろ。殺すぞ。」
彼と僕の間にフェスターニャが入る。
相変わらず警戒心高いな。
彼は攻撃なんて仕掛けてないじゃないか。
「怪しい動きはするな。すれば直ちに撃ち殺す。」
「おや、怖いですね。攻撃なんかしませんよ。
其れより白杖と、サングラスは何処ですか?」
「君より少し離れた所にあるよ。で、名前は?」
「取ってくれると言う親切心は無いんですね。」
「だって取ってって言ってないもん。」
僕は彼が質問した事に対して答えたんだけど。不満があったのかな。
「名前でしたっけ?わたしは〝サイレント〟です。」
「やっぱり?僕の正解だね、フェスターニャ!」
「マスター何も言ってませんよ。」
「あれ?そうだっけ?」
僕とした事がうっかりうっかり。
「本名は?通り名なんか如何でもいいんだよ。」
「貴方にそこまで教える義理ありませんよ。」
「マスターに逆らうなッ!!」
フェスターニャがサイレントの胸を足で蹴り倒した。
もっと丁重に扱おうよ。
フェスターニャは彼の胸を足で踏み付けている。彼は苦痛の表情を浮かべた。
犬や猫じゃないんだから...。
彼も痛がってるよ。ソフトにいこうよ。
「乱暴な、方ですね...。言葉使いも、其れでも女ですか?」
「お前に言われる筋合いは無いッ!!
ま、マスター、言葉使いならちゃんと、その内、直しますから!!」
「僕に言われても...」
苦笑いをこぼしながら僕は後頭部を掻いた。
「足を退けなよ。彼が苦しがっているじゃないか?」
「はい、マスター。」
フェスターニャは笑顔で足を退かしてくれた。
僕に笑顔を向けられても...。
「躾がなっているようで何よりです。」
「それ程でも~。」
「褒めてませんよ。」
冷ややかな目で見られた。だけど僕がいる場所より少し左に逸れてる。
完全に見えてないね。これは。
見えていようがいまいが、僕には関係ない。
重要なのは瞳の美しさだ。
「本名は?」
「貴方本当に話し聞いてませんね。話さないとまた蹴られるんですか?わたしは...」
「痛みが嫌なら楽にしてあげようか?」
フェスターニャ、顔が悪人その者だよ。
「恐ろしい女性ですね。」
サイレントは返しが逸品だ。面白いね、アハハ。
「名前、でしたっけ?わたしはモガル・クラストです。
もう言いましたし、痛い事されるのは御免ですよ。わたしはマゾヒストではないので...。」
両手を上げて彼は言った。
僕はマゾヒストなんて趣味じゃないからね。まず男って時点で範囲外だから。
僕は(目が綺麗な)女の子が好きなんだよ。
「モガル・クラスト...OK、覚えた。
君は指図めキャロルの護衛人かい?」
僕は頭の中に彼の名前を記録しながら聞いた。
聞くなんて行為しなくても、僕が考えている事は十中八九当たってるけどね。
でも、一応聞いておくって言うのが礼儀だったりするもんだろ。
僕はモガルと仲良くなりたいからね。
手順はしっかりと踏むつもりだよ。
「まぁ、そんなところです。けど、如何しましょうかね。これから...。」
モガルは少し巫山戯た口調で言った。
冗談交じりに会話する程度の元気はあるみたいだ。
結構、結構。元気は何事にも必要だ。
「よしじゃぁ、僕にクライアント(※雇い主)を変えなよ。」
フェスターニャを押し退けて僕はモガルの両手を握り締めた。
「ちょ、マスター!?何言ってるんですか!!」
フェスターニャが、驚いた顔で僕を見ている。
何も驚く事は無いだろう。
モガルも見えない目を見開いている。そんなに見せつけられるとゾクゾクするじゃないか。
失禁したら如何するんだい。着替えなんか無いんだよ。
嗚呼でも其の瞳がそうしろって言うなら、其れもまた一興なのかもしれないね。
「息が荒くて気持ち悪いですよ。」
「其の瞳でSMプレイかい?其れは良いね...あ、公然の場で羞恥プレイかい?またマニアックだな~君は。」
「わたしの目がなんですか?其れとそんな事一切口にしていませんが。」
「君は自分の目の美しさを知らないのか!!」
「何を言っているのか、いまいち解らないんですけど...。支離滅裂とはまさにこの事ですね。」
あれ、僕は今モガルに呆れられているのか。
まぁいいか。僕には関係無いしね。
僕はモガルの鼻先に自分の鼻先を近付けて、美しい星眼を覗き込んだ。
「僕は君(の目玉)が欲しい!!今すぐクライアントを僕に変えろッ!!これは命令だッ!!君に拒否権は存在しない!!!」
「マスター...。」
「貴方って人は...わたしは道具か何かなんですか。」
「君は僕のコレクションさ。」
モガルは深い溜息を吐いた。
これは脈あり。
「解りました。生きる為には此方側が得策の様です。」
「利口な奴は好きだよ。」
「サイレント...、マスターに危害を加えてみろ。殺すぞ。」