第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
皆が集まっている部屋に戻ってくると、白ちゃんが溜息をついて出迎えてくれた。
顔を離して数分しか経ってないと思うが、白ちゃんの顔には疲労の色が見える。
今だ覇気の無いセルリアを背に隠して、白ちゃんに微笑む。
さり気なくセルリアをナタリアの元に引っ張る。
ついでにナタリアに耳打ちをする。
「セルリアの治療を。早急に。」
平気そうにしているけど、セルリアは腕を撃たれているのだ。家に帰らないと言っているし、これ位はしてあげなくてはね。
ナタリアの返事が返ってくる前に、白ちゃんへと視線を戻す。
「答えは出たの?」
「えぇ...出たわよ。」
「其れは良かった!」
笑顔で両手を合わせる。
白ちゃんは渋々と言った感じで、答えを口にした。
「要件は飲むわ。但し、こっちの言い値のお金を出す事。安くないんだからね。」
「流石白ちゃん!!そう言う返事をしてくれると思ってたよ!
それじゃ、解散!!!終わりだ!!終わり!!
みんな帰っていいよ!」
黒虎兄さんの呆れた息が聞こえてきた。
他の面子も似たリアクションだ。
セルリアは何時の間にか部屋から出て行ってしまったようだ。あの状態では、折角買ってあげたアトリエが、更に傷付きそうだな。
其れにしても、ナタリアは随分手際が良いな。上出来、上出来。
「あ、白ちゃん。“あれ”はある?」
「あるわよ。其の前にあんなの流石に触りたくないわ。」
「とても綺麗じゃないか。」
また溜息をつかれた。
つれないな...。でも、綺麗な事に変わりないじゃないか。
僕は部屋を出ると、以前僕が使っていた部屋へ足を運んだ。
扉を開けると埃が溜まっていて、咳き込んでしまった。
いくら触りたくないとは言え、掃除くらいしてくれても良いじゃないか。
口元を手で抑えて部屋の中に入る。
1番奥に黒いシートで隠された大きな箱がある。どれ位かをあえて答えるなら、成人男性が寝られる位。
右端の方を捲る。水の中に人影が見える。
棺の様に顔の部分だけ開ける事が出来るので、開けて人影の顔をよく見る。
手を伸ばす、人影の顔を優しく撫でる。
自力で開く事の無い瞼を指を使って無理に開く。
嗚呼、美しい瞳だ。どの青より蒼くて碧い。君だけだよ。僕をこんなに昂らせるなんて。
「生きてる君も良いけど、こっちもなかなかだよ。
ねぇ、〝セルリア〟」
【アリス騒動】《完》
顔を離して数分しか経ってないと思うが、白ちゃんの顔には疲労の色が見える。
今だ覇気の無いセルリアを背に隠して、白ちゃんに微笑む。
さり気なくセルリアをナタリアの元に引っ張る。
ついでにナタリアに耳打ちをする。
「セルリアの治療を。早急に。」
平気そうにしているけど、セルリアは腕を撃たれているのだ。家に帰らないと言っているし、これ位はしてあげなくてはね。
ナタリアの返事が返ってくる前に、白ちゃんへと視線を戻す。
「答えは出たの?」
「えぇ...出たわよ。」
「其れは良かった!」
笑顔で両手を合わせる。
白ちゃんは渋々と言った感じで、答えを口にした。
「要件は飲むわ。但し、こっちの言い値のお金を出す事。安くないんだからね。」
「流石白ちゃん!!そう言う返事をしてくれると思ってたよ!
それじゃ、解散!!!終わりだ!!終わり!!
みんな帰っていいよ!」
黒虎兄さんの呆れた息が聞こえてきた。
他の面子も似たリアクションだ。
セルリアは何時の間にか部屋から出て行ってしまったようだ。あの状態では、折角買ってあげたアトリエが、更に傷付きそうだな。
其れにしても、ナタリアは随分手際が良いな。上出来、上出来。
「あ、白ちゃん。“あれ”はある?」
「あるわよ。其の前にあんなの流石に触りたくないわ。」
「とても綺麗じゃないか。」
また溜息をつかれた。
つれないな...。でも、綺麗な事に変わりないじゃないか。
僕は部屋を出ると、以前僕が使っていた部屋へ足を運んだ。
扉を開けると埃が溜まっていて、咳き込んでしまった。
いくら触りたくないとは言え、掃除くらいしてくれても良いじゃないか。
口元を手で抑えて部屋の中に入る。
1番奥に黒いシートで隠された大きな箱がある。どれ位かをあえて答えるなら、成人男性が寝られる位。
右端の方を捲る。水の中に人影が見える。
棺の様に顔の部分だけ開ける事が出来るので、開けて人影の顔をよく見る。
手を伸ばす、人影の顔を優しく撫でる。
自力で開く事の無い瞼を指を使って無理に開く。
嗚呼、美しい瞳だ。どの青より蒼くて碧い。君だけだよ。僕をこんなに昂らせるなんて。
「生きてる君も良いけど、こっちもなかなかだよ。
ねぇ、〝セルリア〟」
【アリス騒動】《完》