第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
玄関から出ると、予想通り気温が低く寒かった。
まだ暖まりたかったなと、未練は残るが依頼を済ませれば、それも容易に出来る。殺るべき事を早く殺り終えて、ゆっくりしたい。
ギフトが俺とディーブに視線を移す。


「さっきジュラル・ミルと連絡を取った。彼は北に位置するノーリスト街の先にある教会を指定した。彼もそこに居るはずだよ。」


ノーリスト...確かさっき俺が殺しをやったところ(貧民街)か。随分人気の無い場所を指定したな。
あそこはこの首都部でも、一際人がいない場所だ。まぁ殺すには最適かもしれないがな。


「...じゃ、早く。」


ディーブが俺のコートの裾を引っ張る。
早く終わらせたいのだろう。ディーブが急かすって事は。
解らなくは無いがな、その気持ち。
今日振り返るだけでどれだけ俺が振り回されただろうか。十中八九ギフトの所為だけどな。
今度金でも摺っておこうか。


「それじゃ、行こうか。今夜はわくわくするな〜。」

「今夜どころか、もう1:00じゃねぇーか。」


これは明日1日中寝るな。確実に。
俺達は足早にノーリスト街の先にある教会へ向かった。
< 34 / 277 >

この作品をシェア

pagetop