第1巻 Sicario ～哀しみに囚われた殺人鬼達～

銃口から放たれた鉛の弾が僕の腹部へ、皮膚を裂き血管を破いて内臓へダメージを与える。
血がこみ上げてきて、口から吐いた。
片膝をつく、彼女が自信ありげに笑った。


｢大したこと無いじゃない。つまらなかったわ。｣


彼女が上着の内ポケットに銃をしまう。
僕は血が滴れている口の口角を上げた。
そして何事も無かったかのように立ち上がった。
フィーラ・タラガストが驚いた形相で僕を見る。


｢そんな...何故立ち上がるの?｣


きっと彼女は混乱しているに違いない。
自分の頭では理解し難いことが、目の前で起こっているからだ。
僕はニコッりと微笑む。


｢知らなかったの〜?僕には痛覚が無いんだよ。ねぇねぇ、ビックリした?｣


彼女の顔が険しくなる。怒った、怒った。
さぁ、楽しい殺し合いの始まりだ。
僕が彼女の元へ走り出すと同時に、彼女は先程しまった二丁銃を上着の内ポケットから、素早く出した。