第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
流石...同御者なだけあって、一撃が重い。
全身が痛い今に、この一撃は辛い。
じりじりと押される。痛くて力を込めようにも、込められない。


「...っ」


両手でナイフを握る。思わず肩膝をついてしまう。
ドールめ...怨むぞ。
突然後ろから手が伸びてきた。驚いたが両手が塞がっているため、何も出来ない。
痛い体に鞭打って、無理矢理力を込める。

バチッという独特な音と共に、男が倒れた。
現状が掴めなくて、暫く硬直してしまった。
背負っているディーブが思いっ切り首を絞める。
苦しくてディーブの腕を叩いた。


「...痛い。」


そう言うとディーブが腕の力を抜いた。
ディーブが背中から離れた。


「ゲホッ...殺す気かッ!!?」

「固まってたから...」

「言葉を使えッ!!」


俺は首を撫でた。
割と本気で絞めやがって...。
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