第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
「ギフトッ!!」


混乱している俺は訳も解らず、ギフトの名前を叫んだ。
ギフトが追い詰められることなど早々に無い。

銃をギフトに向けている奴の顔を見る。
俺は目を疑ったよ。夕方のあの女性ではないか。俺達は既にターゲットと接触していたのか。

何だか馬鹿馬鹿しくなって、笑いが込み上げた。
最初から探す必要などなかった...と言うわけか。


「あら、夕方ぶりね。如何するの?私を殺すの?」


女は余裕綽々な顔で此方を見る。
如何するって...そんな事解りきっている。


「殺すだけだろうが...」


俺がそう言うと、女はギフトに向けていた銃を、俺に向けて発砲した。
身を低くしなんとか銃弾を避けると、ディーブを抱えたままギフトの元へ走った。

威嚇するように男から奪った剣を振るった。女は避ける為に俺達から距離を取った。
ディーブをギフトの元へ降ろす。


「...頼んだかんな!」

「うん...。」


女が教会の外へ出て行く。
俺は迷い無く女の後を追った。
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