第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
俺はもう一度剣をしっかりと握り締めると、女の喉元目掛けて斜め上方向に剣をあげた。
金属の特徴的な甲高い音が辺りに響く。
女は俺の太刀を右手に持っている銃で、受け止めていた。だが所詮女だ。男の俺に力では敵わない。
俺はそのまま剣に力を込めた。
痛みという悲鳴で体が俺に訴えてきたが、歯を食いしばって無理矢理体を動かす。

かきたくもない汗が、顔を伝う。
力押しで当然の如く俺が勝った。女が右手に持っていた銃を、弾き飛ばす事に成功した。

女はすぐさま銃を回収しようと、銃が落下した地点へ駆け出した。
俺がそんな事許すとでも思ったか。
女が駆け出したお陰で、丁度女の足が俺の目の前にくる。

ここで外す訳にはいかない。
俺は地面に殴りつけるように、剣を振り下ろした。
剣の刃の部分が女の左アキレス腱を切り付ける。

バランスを崩した女が地面に倒れ込む。
倒れ込む寸前に女は身を捻り、俺の方を向くと銃弾を放った。
< 46 / 277 >

この作品をシェア

pagetop