第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
そんなあたしを差し置いて、電車を止めた事により隙が出来た爆弾魔に先パイが走って行った。
全く...行動だけは早い先パイだ。


「大人しくしてもらうぞ。犯罪者。」


先パイはそう言って爆弾魔に拳を向ける。
爆弾魔は驚いたようだったが、ズボンのポケットから小さな“何か”を先パイへ投げた。


「!?...くッ」


先パイは咄嗟に両腕を体の前で、クロスさせた。
その時その“何か”爆発した。

規模は大きくないものの、その爆発は半径1.5メートルは占めるものだった。
爆発の反動で先パイは少し退いたが、直ぐに体制を立て直して拳をつくった。



だが、爆弾魔は先パイの拳ではなく別の誰かによって吹き飛ばされてきた。
煙が消えてその張本人が姿を現す。

割と背が高く、右側の髪が長く左側の髪が短いという変な髪型で、やけに顔が整っている青年が、人でも殺しそうな形相で立っていた。
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