第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
ギフトはその男性を快く家にあげた。気弱そうな顔をしている。
ギフトは自身が座っていたものとは別の椅子を出して、男性を座らせた。そして、ギフトは自分の椅子に座って両手を合わせた状態で鼻先から口元に触れるように当てた。


「ご用件は?」


殺しの依頼の筈なのに生き生きとした声色で、ギフトは男性に問いた。
男性は口篭った様子で、中々話そうとはしない。
それでも折角の依頼を逃すまいとギフトは男性が話し出すのを気長に待った。
数分して決心がついたのか、男性は口を動かした。


「恋人を…殺して欲しいんです…。」


はっきりと男性は言った。
ギフトは興味が湧いたのか口角を上げ、足を組んだ。


「何故?理由をお聞かせ願おうか。」


男性はギフトの鋭い眼差しに怯んだのかゆっくりだが語り始めた。
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