第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
俺は視線をデイに移す。


「あいつをどう見たら、女になるんだよ。」


デイは前髪で殆ど見えない目を煌めかせた。口角も少しだけあげている。


「脱がせる?」


俺は年上とかそんなもの関係無しに、デイの頭を殴りつけた。
デイが痛みで再びゴミ溜めにうずくまる。
声にならない声をあげて悶えている。

ふと視界の中にディーブが入る。相変わらずの無表情で俺とデイを見ていた。
場所が場所なので正直言ってホラーにしか見えない。


「つ~~~~ッ!!...せ、セルリアにも初々しいところがあったんだね...。」

「別にそーいうのは平気だぜ。俺もガキじゃねぇーし。只...勃ちもしねぇー女の身体見ても得しねぇーだろ。」


まだ頭をさすりながら、デイは漸く上体を起こした。
少し強く殴ってしまったか...自重はしないけどな。

デイが変な事を言い出したのが悪い。
まだ昼なんだぜ、大概にしてくれよ。
デイが思い立ったように俺に話しかける。


「此処に来るのは別に構わないけど、これから如何するんだい?」


そういえばこれからのことを、何も考えていなかったな。
俺は頭を使うことは苦手なんだよ。
無意識のうちに溜息が漏れた。
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