第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
俺は藁おも掴む思いで、マロンが座っていた筈の席へ足を動かした。

生きててくれ。

其の思いでいっぱいだった。
何時もはあんなに俺から避けて、上司なりの優しさも無く、只苦手で仕方なかった。
如何しても受け入れることが出来無かった。
“犯罪者”其のキーワードが突っかかって、受け入れられなかったのだ。


「...クソッ!」


金属が剥き出しになっている座席を殴った。
俺は“また”相棒を失うのか...。
救えないのか...。

自分の不甲斐なさと無力さが体を蝕んでくる。
吐き出しそうだ。
俺は顔を上げた。ふとその時、マロンの黄土色の髪が見えた気がした。
俺はもう一度視界に入った黄土色を見た。

気の所為でも見間違いでもない、マロンだ。
電車の外に、投げ飛ばされたかのような体勢で倒れている。
俺は急いでマロンの元へ駆け寄った。
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