第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
俺はマロンを横抱きにした。


「ちょ!何すんスか!?歩けるっスよ!!」


マロンが俺の腕の中で暴れる。


「落ちるぞ。怪我人は黙ってろ。」


俺がそう言うとマロンは黙った。
その代わり俺の首元に掴まって、顔を埋めた。
勿論マロンの事だからPCを落とさないように、きちんと配慮をしている。


「こっち見ないで下さいっス...。」


マロンの耳が赤く染まっているのは、内緒にしておこう。
俺は少し微笑んだ。
きっとこの微笑みは、こいつが無事だった事が嬉しいからだろう。
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