第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
ギフトが男性を見送ると、俺の元にやって来た。


「さぁ!セルリア!!早速ターゲットの詳細を調べるぞ!」


そう言うとギフトは俺のコートを乱雑に投げた。咄嗟の反応も出来ず、顔面にコートが当たった。
隣で小さく「行ってらっしゃい」というディーブの声が聞こえた。
俺は引き摺られるようにギフトに連れていかれた。玄関から出ると、ギフトは俺の事などお構い無しに今回の依頼の詳細を語り始めた。


「今回の依頼人はジュラル・ミル氏。ターゲットは彼の恋人フィネル・タラード。ミル氏の情報だと、彼女は美容院に勤めている。場所は既に判明してる。電車で10分だ。」

「何で俺も行かなきゃいけねぇーんだよ...。」


大体の理由は見当がつくが、一応聞いてみる。
生き生きとしていたギフトの表情が険しくなる。


「ドールと行きたくないから...」


割と真面目な声色で言う。
その気持ちは解らなくはない。ドールのギフトへの愛は異常なものだ。傍から見ていても、それは明らかなものだ。
仕方無いか...俺は大人しくギフトに、ついて行く事にした。
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