イケメン同期に素顔を見抜かれました



そして、夕方。

「崎坂、何食べたい?」

その問いに咄嗟に出たのが「焼鳥」で。

「よかったあ。洒落たフランス料理とか言われたら考えるとこだったー」

そうやって胸を押さえる有村を見ていると、思わず笑みがこぼれる。

「そんなとこ、私も行ったことないよ」

「俺だってないよ。じゃ、とりあえず行きますか」

「うん」




こうして連れられてこられたのは、一軒の焼鳥屋。

「この間、営業部のみんなと来て美味しかったから」

「結構営業部って飲み会あるの?」

「まあ、たまには」

崎坂、ビールでいい?

そう聞かれて頷くと、やってきた店員さんにスマートに注文していく。

「苦手なものとかない?」

「うん、基本的には。有村のお任せで頼んじゃってよ」

「そう言われると、緊張するなあ」

おどけた口調の有村に、ついつい意地悪を言ってしまいたくなる。

「美味しくなかったら有村のおごりね」

「オイオイ。勘弁してくれよ、給料日前だぜ?」

「それは私も一緒ですー」




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