イケメン同期に素顔を見抜かれました
「ごめん、こんな日に私に付き合わせちゃって」
「いいよ、別に。予定もなかったし」
その言葉に胸がズキっと痛む。
「何言ってんのよ。彼女とかにお祝いしてもらう予定とかじゃなかったの?」
すると、有村はゆっくりと横に顔を振った。
「今、微妙な状態だから」
微妙? どうして? ふたりの間に何があったの?
そう思っていた心の中が顔に現れてしまっていたのだろうか。
「アイツの浮気咎めたら、逆ギレされた」
いつもより少しだけ低めの声で、ポツポツと有村が話し出した。
「元々甘えん坊で束縛しがちな所があって。俺が忙しくて構ってやれなかったら他の男と遊んだりしてたのは知ってたんだ。でも、真理の気持ちが俺の方にあったのはわかってたし、俺もちゃんと好きだったから……見て見ぬふりしてた」
有村は気付いていない、彼女の名前を口にしたことに。
その途端、私の中で、電車で見かけた彼女の顔が脳裏に浮かぶ。
あれだけ可愛い顔で甘えられたら、有村以外の男の人も好きになるだろう。
「でも最近、仕事で会えないことに対してもわがまま言うようになってさ。やっぱ、学生の頃のようには時間作れねぇじゃん? それでケンカになって」
「浮気の事言ったら、逆ギレ……?」
有村が、寂しそうに微笑む。
「『真理の事ほったらかしにしてた櫂がいけないんでしょ』って」
「それで、仲直りは?」
「そのまま。俺から連絡も入れてないけど、向こうからも連絡はない」