イケメン同期に素顔を見抜かれました
November
なぜ、私は休日に同期と待ち合わせをしているのだろうか。
それも、彼女持ちの男と。
ふたりっきりだなんて。
有村から指定された、「今度一日付き合ってよ」は、11月の第三日曜日だった。
日時と共に示されたドレスコードは「動きやすい服装」
一体どこへ行くんだ? と思いながらもクローゼットを漁って服を吟味し。
いつもより少しだけ丁寧にお化粧をして、玄関へと向かう。
「あれ? 芽衣、出かけるの?」
スニーカーを履いていると、後ろから声が掛かる。
振り返ると、残念そうな表情のお姉ちゃん。
「一緒にお買い物行こうかなって思ってたのになあ」
「ごめんね。会社の人と出掛ける約束してるの」
「そっかあ。じゃあ、今日はひとりで出掛けようっと」
私と違って、お姉ちゃんは意外とひとりが平気な人だ。
お買い物も映画館も、外食だってひとりで大丈夫。
外見上はきっと、ひとりが大丈夫なのは私で、大丈夫じゃないのはお姉ちゃんに見えるだろうけれど。
「会社の人って誰?」
「……ん~、お世話になっている先輩たちと何人かって聞いてるけど。私も詳しくは聞いてないんだ」
「へぇ。楽しんでおいでね。行ってらっしゃい」
「行ってきます」
挙動不審になった私に、少し鈍感なお姉ちゃんは気が付かなかったらしく。
少しだけついた嘘にも気づかず、笑顔で送り出してくれた。