イケメン同期に素顔を見抜かれました
今日はうちの会社の恒例行事、ビアガーデンが開催される日だ。
会社全体のイベントなので、他の課の人だったり工場の人たちとも顔を合わすことのできるものだから、児玉さんも参加する予定にしていた。
「そうだったんですかぁ」
「でも、せっかく主人が行っていいよって送り出してくれたから、ここは心を鬼にして楽しむわよ。芽衣ちゃんも気になるしね」
心の中を読まれたようで、内心ギクリとする。
「芽衣ちゃん、人見知りだから。私が行かないとなると、自分も行くの止めちゃいそうだもん」
「あはははは。そんなことないですよー」
「普段顔を合わすことのない人たちとも会えるのは、今後仕事をしていく上でも大切なことよ。頑張りなさい」
バシ。
軽く背中を叩かれちょっとだけ泣きそうな顔をする私を、チーム長と児玉さんが暖かく見守ってくれていた。
児玉さんが言うように、正直初対面の人とと話すのはとても苦手な私。
仲良くなると大丈夫なんだけど、どうしても上手く会話ができなくて気まずくなってしまう。
今回のビアガーデンも欠席しようと思っていたけれど、そんな私の性格をすでに読み取ったチーム長と児玉さんが、
「みんなで一緒に行こう」
って誘ってくれたから、頑張って参加しようって思ってるくらいだもの。
でも、児玉さんが言っていたことも一理ある。
私は新人なんだから、顔を覚えてもらうつもりで参加しなくちゃ。
少しだけ気が重いけど、とにかく頑張ろう。
始業のベルが鳴り、私は今日の資料に手を延ばした。