イケメン同期に素顔を見抜かれました
「今日、お姉さんに会いに、市役所に行ってきたんだ」
「は?」
「だって崎坂、俺の話聞いてくれないし。お姉さんだったらどうにかしてくれるかな、と思って」
悪びれもしない有村の態度に、少しイラッとする。
「さすが崎坂のお姉さんだよな。開口一番、『芽衣の事傷つける人は承知しないからね』って。見た目は柔和なのに目が本気でビビったよ」
「お姉ちゃん、ああ見えても家で一番怒ったら怖いからね」
「うん、だからちゃんと言ってきた。傷つけたりなんて絶対しませんって」
少しばかりの沈黙。
バツの悪そうな顔で、有村が続ける。
「崎坂の事は、入社した頃からずっと気になっててさ。でも、それは同期として気が合うだけで、恋愛感情なんかじゃないって思ってたんだ」
「うん……」
「でも、俺の誕生日に一緒に飯行った時に、崎坂にバッサリ言われたじゃん、『励ましたりとか出来ない』とか、『浮気知ってて付き合えない』とか」
「そうだね」
「その時思ったんだ。ああ、やっぱり俺、崎坂の事が好きだって。俺の事、ちゃんとわかってくれるのはこの子だ、って」
「ちゃんとわかる、って?」
「……真理にはさ、かっこつけてたんだよ。何でも受け止める、器の広い年上の彼氏を演じてた。だから、浮気とかされても責めたりとかせずに、向こうが謝ってきたら許してた」