イケメン同期に素顔を見抜かれました



「今日、お姉さんに会いに、市役所に行ってきたんだ」

「は?」

「だって崎坂、俺の話聞いてくれないし。お姉さんだったらどうにかしてくれるかな、と思って」

悪びれもしない有村の態度に、少しイラッとする。

「さすが崎坂のお姉さんだよな。開口一番、『芽衣の事傷つける人は承知しないからね』って。見た目は柔和なのに目が本気でビビったよ」

「お姉ちゃん、ああ見えても家で一番怒ったら怖いからね」

「うん、だからちゃんと言ってきた。傷つけたりなんて絶対しませんって」




少しばかりの沈黙。

バツの悪そうな顔で、有村が続ける。

「崎坂の事は、入社した頃からずっと気になっててさ。でも、それは同期として気が合うだけで、恋愛感情なんかじゃないって思ってたんだ」

「うん……」

「でも、俺の誕生日に一緒に飯行った時に、崎坂にバッサリ言われたじゃん、『励ましたりとか出来ない』とか、『浮気知ってて付き合えない』とか」

「そうだね」

「その時思ったんだ。ああ、やっぱり俺、崎坂の事が好きだって。俺の事、ちゃんとわかってくれるのはこの子だ、って」

「ちゃんとわかる、って?」

「……真理にはさ、かっこつけてたんだよ。何でも受け止める、器の広い年上の彼氏を演じてた。だから、浮気とかされても責めたりとかせずに、向こうが謝ってきたら許してた」




< 40 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop