イケメン同期に素顔を見抜かれました
しかし、物事はそう簡単にはうまくいかない。
大学時代から付き合っている彼女との、別れ話が進まないのだ。
2歳年下の真理との関係は、秋頃から冷めきっていた。
櫂としては、芽衣への気持ちに気付いた時に、ちゃんと真理へ気持ちを伝えるつもりだったのだが、それに気付いたのか、真理が何度連絡を取っても話を聞いてくれなくなったのだ。
おかげで芽衣には気持ちを伝えることもできず。
かといって、真理と別れることもできず。
櫂としてはどうにかして、この状況を打破したい。
そう思っていた矢先の先輩の一言。
櫂の心の中がざわざわとしているのに気付いていない先輩は、更に話を続ける。
「俺、今日誘ってみようかなあ」
「えっ!?」
「クリスマスに誘ってみて、オッケーもらったら、これいけるってことになるだろうしさ」
笑顔の先輩に愛想笑いで返す。
「そうですよね。さすがに今日、彼氏いたら断られますよねぇ」
「だよな、だよな。俺、頑張っちゃお」
先輩の言葉に、櫂の中で更に焦りが生まれる。
今現在、芽衣に決まった人がいないのは、本人から聞いている。
先月だって、ふたりでデートもした。
ひょんなことから真理の浮気グセについて芽衣に語ることになった時の一言を思い出す。
「私には好きな人と付き合ってるのに浮気しちゃう人の気持ちなんかわからないし、それでも信じてる有村の気持ちも理解できない」
そんなことを言う芽衣だ。
恋人がいたら、自分とふたりで出掛けるなんてことはしないだろう。
でも、自分が二の足を踏んでいる時に、横から先輩に掻っ攫われたら……。
そう思うだけで、胸の奥が嫉妬の炎で焦がされそうだ。