イケメン同期に素顔を見抜かれました
終業後、退社する芽衣を捕まえて予定を聞くと、どうやら先輩からも何も言われていない様子で、「家に帰るだけだけど?」と、冷静に返された。
その言葉に気が緩んでしまったのか、その場の勢いで告白までもしてしまったのだ。
当然、芽衣には逃げられた。
ちゃんと自分の気持ちが本気だとわかってもらえるように、櫂としてはフォローのメールを送り。
そして翌日、ようやく会う約束をしてくれた真理と話し合い、やっとキレイに芽衣と向き合えることになったのに。
「なんで、避けられるんだよ……」
そう。
あのクリスマスイブの日以来、櫂は芽衣と話せていないのだ。
告白したのが間違っていたのか。
芽衣は、自分の事が嫌いなのか。
告白してから今日まで、毎日のように自問自答を繰り返すが、答えは出ない。
きっぱり面と向かってふられたわけでもない。
なかったことのように、今まで同様の状態なわけでもない。
とにかく、無視をされていることで、櫂のモヤモヤは広がるばかり。
このまま年を越すのは、とても辛い。
しかし、仕事は待ってくれはしない。
重い気持ちに蓋をして、席から立ち上がる。
今日は午前中に、お得意先に年末の挨拶回りが入っていた。
得意先の位置と担当者を再確認するために、名刺を見る。
「あれ? ここって、崎坂の……」
瞬間、櫂の頭の中にひとつのアイディアがひらめいた。
もう、これに賭けるしかない。
「出かけてきます」
勢いよく、営業部のドアを開いて飛び出した。