イケメン同期に素顔を見抜かれました
「本当にありがとうございました」
喫茶店から出て、再度雛子に頭を下げる。
「また会えるといいね。今度は芽衣と3人で」
「……はいっ!」
ヒラヒラと笑顔で手を振りながら、最後に雛子が囁いた。
「有村くん」
「はい」
「私の彼ね、幼馴染なの」
「へぇ、そうだったんですか」
「そ。だから、芽衣のことも昔からよく知っているの」
だからね、有村くん。
「芽衣には過保護な父親がふたりいるって思ってもらっていいからね」
まだ状況が呑み込めず目をくるくると回す櫂を残し、雛子は立ち去っていった。
大好きな女の子の、大好きなお姉さんは。
時々、毒を吐くらしい。
有村櫂の受難は、まだ始まったばかりだ。
【2015.5.24/エピソード1】