イケメン同期に素顔を見抜かれました
入社式で初めて会った時も思ったけど、彼――有村櫂(ありむら かい)は私とは正反対の、社交的な人間だ。
最初からニコニコと、屈託のない笑顔で話しかけてきた。
私は緊張のあまり、目を合わせず挨拶をしてしまったけど。
でも、そんな私の態度に怒ることなく世間話を続けてくれた彼に、最近やっと目を合わせて会話ができるようになってきていた。
「ごめんねぇ。もう少し話していたかったんだけど、そろそろ帰らなくちゃ」
腕時計を見て、児玉さんが立ち上がる。
「じゃあ、芽衣ちゃん、また来週」
「はい、お疲れ様でした」
「有村くんも。遅れた分だけしっかり飲み食いするのよ」
「はい、ありがとうございます」
じゃあね~、と児玉さんは明るく手を振り帰っていった。
「よかったな、上司が人見知りじゃなくて」
「うん、って何で私のこと人見知りって知ってるの!?」
「知ってるも何も。入社式の時の態度見てたら何となく察するぞ?」
あたふたする私に、「バレてないと思うお前のその考えにびっくりするよ」と、笑いながらビールを飲む有村。
「でも、配属先があの研究チームでよかったとは思ってるよ。あまり大人数での仕事じゃないし、チーム長も児玉さんもいい人だし」
「そっか」
「有村は? やっぱり営業は大変?」
「う~ん。まだ先輩の後ついて回ってるだけだからなあ」
「お互い早く一人前になれるように頑張らなきゃだね」
「そうだな」