イケメン同期に素顔を見抜かれました



それからしばらく、有村とお互いの仕事内容を話したりしていたら、ふと思いついたように有村に尋ねられた。

「そういえば。崎坂ってうちの会社に入った理由って何?」

「え、何よ突然」

「いいじゃん。ちょっと気になってさ」

「何なの、面倒くさいなあ」

いつもなら面倒なので軽くあしらってしまうけど。

でも今日は酔いも回っているからか、ポロっと口に出してしまっていた。

「お姉ちゃんがね、薦めてくれたの」

「へぇ、崎坂、お姉さんいたんだ?」

「うん。5つ上にねぇ」




「小さい頃から、食べることが好きだったの。で、料理作るのも好きで」

「ふーん」

「で、大学進学の時にどうしようか迷ってたら、お姉ちゃんが言ったの。『芽衣、お料理好きだし、そういう学校行ってみたら?』って」

「そういえば崎坂って栄養系の大学出身だったな」

「そー。それで就活の時にもね、『せっかく勉強したこと活かせる仕事探してみたら?』ってアドバイスくれて」

「それで、ここ?」

「うん。家からも通える距離だし。私元々ここのおせんべい大好きだったから」

有村の相槌が心地良くて、普段話さないようなこともスラスラ喋ってしまう。

「お姉ちゃんもね、ここのおせんべい好きなの」

「へぇ、そうなんだ」

「だから、内定もらった時、すごい喜んでくれてね。ってこれじゃ何だかお姉ちゃんがおせんべいにつられたみたいだ。そうじゃないからね」

「わかってるよ。ちゃんと妹の就職を喜んでくれたんだろ?」

「そう!」




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