イケメン同期に素顔を見抜かれました



あの時のお姉ちゃんの笑顔を思い出すと、今でも笑いそうになってしまう。

高校と大学入試の時も、私以上に緊張した顔で合格発表を待っていたお姉ちゃん。

そして、合格したと知ると私以上に満面の笑顔で喜んでくれるんだ。




すると、横からクスクスと笑い声が聞こえてきた。

「……何笑ってんのよ、有村」

「ん~。崎坂ってさ」

「何よ!?」

相変わらず有村はクスクス笑ってる。

そして、私の目を真っ直ぐ見て言ったんだ。




「お前って、お姉さんのこと、大好きなんだな」




「まぁ、嫌いでは、ないけど……」

少し、びっくりして、声が震える。

そんな風に言ったのは、2人目だったから。

基本的に私が他人から受ける評価は、決まって「クール」

人見知りだからあまり話さないだけなのに、お高く留まってるとみられがち。

顔の印象がキツめだから、クールで冷静、って評価を受ける。

でも、実際の私はひとりが苦手。

ショッピングもランチも映画も、なるべく誰かと一緒に行く。

ひとりで街を歩くのは、寂しいから。




そんな私を理解するには、自分でも結構時間が掛かるだろうなと思っている。

時間が掛かるからこそ、人付き合いも広くはない。

でも有村は。

会ってから4か月で。

4か月って言っても、一緒に仕事をしているわけじゃないから、実際は何回か会っただけで、私のことを見抜いてしまった。



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