初恋の君は俺を忘れてしまいました。
タイトル未編集

初恋の人

   ―ピピピッピピピッー


「んー。はいはい」


音が大きめの目覚まし時計に起こされた私は、寝起きの重たい体を起こして、ベッドの横にある棚に手を伸ばし、目覚まし時計をきった。


ストレートアイロンの電源をつけて着慣れた制服に着替える。


中学生の制服特有の、膝下のスカート丈。


丸襟のブラウスに可愛くないリボン。


セーターを着て、お母さんからもらったドレッサーの前に座る。


母譲りのツヤのある黒髪にあらかじめつけておいたアイロンを使う。


三か月前くらいに美容院に行って切ってもらった髪は、もう、肩についてしまっている。



「もーそろそろ切らなきゃなあ」



と独り言をつぶやく。


鞄を持ち、階段をおりてリビングのドアを開けると目の前にはシンプルな時計。


現在七時。


私が出るのは七時半だから、まだ三十分時間がある。


机の上には朝ごはんと一通の封筒。


ご飯はきっと六時に家を出て会社に行くお母さんが作ってくれたものだ。
封筒の中には千円と手紙。


{さなへ


今日も仕事が遅くなりそうなので、このお金で食べてください。


あと、今日の放課後、ちゃんと病院行くのよ。


それじゃあ、学校と検査がんばってね。


                  お母さんより}


最近は一人でご飯を食べるのがあたりまえになり始めた。


「また、一人。」


また、ぽつんと独り言をつぶやく。
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