初恋の君は俺を忘れてしまいました。
今日の放課後は部活も休みのところが多く、生徒もあんまりいなかった。


だからか、周りに騒がれることなく、帰れるのかもしれない。


昂は私に歩幅を合わせ、道路側を歩く。


さりげない優しさにいうもどきどきさせられる。


昂にとって、私はなんだろうか。


きっと、その答えは当分見つからない。


病院の曲がり角で止まる。


「昂、ここでいいよ」


「・・・今日、病院か?」


「・・・うん」


「一緒に行くか?」


「大丈夫だよ。子供じゃないんだし」


「・・・そっか。帰り、気を付けろよ。」


「うん。送ってくれてありがと」


「おう。また、明日。」


「うん!また明日」


昂は自分の家の方向に歩いていく。


家は反対側だから、また、帰ってきた道を戻ることになる。


(ありがと。昂)


私はそう、心の中でお礼をいい、病院へ入った。


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