初恋の君は俺を忘れてしまいました。
松永 沙菜(マツナガ サナ)


一人っ子で親は共働き。


父に関しては他県に単身赴任中。


正月くらいしか帰ってこないから一年でも一回か二回くらいしか顔を合わせない。


口下手だから帰ってきてもほとんど話さない。


その父に対して母はとても話の多い人だ。


そのため会社でも母はかなりのやり手らしく、会社には一番早く行き、一番遅く帰ってくる。


母の中ではそれが当たり前で、今日みたいなことが一か月ほど続いている。


きっと母は私を避けているんだと思う。


まだ、事実を受け止めきれてないんだ。


私だって・・・。


(考えるのやめよっ)


洗面所で歯を磨く。


靴箱から学校用の鬱を出して履く。


家から学校までは十分。


家のカギをかけて歩き出す。


学校が見えてきたくらいで、少し先にアイツを見つけた。


小走りで駆け寄り、声をかける。


「おはよっ」


「おう。おはよ」


あいつはこの人のこと。


松村 昂(マツムラ コウ)


中学一年から三年までずっと同じクラスで大の親友であり、私の・・・初恋の人。
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