初恋の君は俺を忘れてしまいました。

無理なんだよ。

―ヒューー


後ろから茶化してくるやつがいた。


こんなこと俺にしてくるやつは二人くらいだ。


「昂、かっこよ!」


「・・・うるせ。」


「沙菜にはあんなに優しいのになあ!」


「・・・沙菜にだけだし。ってゆーか、千里見てたなら助けろよ」


「あんな怖い先輩に喧嘩売るの事態、昂くらいだもん」


こいつは同じクラスで沙菜と仲のいい成田 千里(ナリタ チサト)


あいつにだけ言ったつもりだったが、こいつにも聞こえてたらしい。


「沙菜にも聞かせてあげたかったなあ」


「・・・絶対言うなよ」


「なんでー」


「・・・」


「告ればいいのに」


ぼそっと小さくつぶやいたつもりらしいが、全然聞こえてる。


「・・・無理なんだよ。俺には」



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