初恋の君は俺を忘れてしまいました。
そう。


無理なんだ。


俺はあんな強気なこと言っといて告白する勇気がない。


この関係が壊れてしまうんじゃないか。


戻れなくなったらどうしよう。


沙菜に恋?をしたのは桜の木の下だったんだと思う。


中学が一緒でクラスが一緒ってことに気づくのにだいぶ時間がかかった。


中学の時、一本だけ桜の木があった。


入学式の日、人混みが嫌いで人がいないところを探していたときだった。


そんなとき、沙菜に出会った。


沙菜は桜の木の下でぶつぶつ何かを言っていた。


「友達ができますように。恋ができますように。悔いのない生活が送れますように。」


そんな風に願っていた。


そんな沙菜の横顔があまりにも綺麗で。


一目ぼれだった。


そこから、なかなか声をかけるのに時間がかかった。


次の日に教室に入ったときは驚いた。


昨日の子が自分の席の目の前にいたから。


出席簿を見てみると、俺たちの席は前後だった。


松永 沙菜。


俺の初恋の人の名前だった。
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