初恋の君は俺を忘れてしまいました。
自分の席まで行くと、千里が心配そうに話しかけてきてくれた。


「大丈夫?」


「うん。念のため今日は早退して病院へ行ってくる。」


「・・・そっか。気を付けてね」


「うん。心配かけてごめんね」


「沙菜が大丈夫なら全然いいよ」


「・・・ありがと」


いい友達をもったなって改めて思う。


水樹も心配そうにこっちを振り向いた。


「大丈夫か?」


「うん。」


昂は保健室まで一緒に行ってくれるって言ってくれたけど、断った。


もしかしたら、保健の先生も学校の先生にあのことを聞いたかもしれない。


昂の前でその話はできないから・・・。


私は千里たちに帰るねと声をかけ、教室を出た。


昂はちょっと不機嫌だったけど。


保健室の前までつくと、中から話声が聞こえた。


多分、電話で話をしているんだと思う。


私はそっとドアに耳をくっつけ、中の話を聞いた。


「・・・迎えにきてあげてください。沙菜さん、体育で倒れて・・え?子供よりも仕事が大事なんですか?沙菜さんは一人で苦しんでいます。一緒に病院へ行ってあげてください。・・・え?あの・・・ちょっと!」


―プープープー・・・―


やっぱり、私のお母さんと話をしてたんだ。


この感じだと迎えには来てくれないみたい。


私は今来たかのように保健室へ入った。

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