初恋の君は俺を忘れてしまいました。

昂の家族

昂が来てくれる時間まであと三十分。


私はすぐに着替えをして、髪を上へ一つにまとめ、鞄を整理してから家を出た。


「・・・いってきます」


人がいるはずなのに帰ってこない言葉。


そう、思っていた。


「「いってらっしゃい」」


リビングの方からはかすかに聞こえた。


家を出ると、昂が待っていた。


昨日は暗くて気が付かなかったけど、お父さんの車もあった。


「昂、おはよ。待った?」


「全然。行くぞ」


「うん」


二人でいつもの通りを二人乗りで通る。


あんまり会話はないけど、この時間がとても好きだった。



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