初恋の君は俺を忘れてしまいました。
昂の家に着くと、美羽ちゃんとお母さんが出迎えてくれた。


「沙菜ねぇ!」


「いらっしゃい。本当に夕飯頼んでもよかったの?」


「おじゃまします。全然気にしないでください。どちらかといえばほとんどは昂が作るの
で!」


「・・・そうなのね。昂くん、よろしくね。何か手伝うことがあったら・・・


「先に着替えてくる」


昂はお母さんの言葉を遮り、自分の部屋へ行ってしまった。


(昂・・・)


「さ、沙菜ねえ、ゲームしよ?」


美羽ちゃんもこの雰囲気を察したのだろうか。


美羽ちゃんに引っ張られ、昂の部屋へ。


昂の部屋に入ると昂は部屋着に着替え、ベッドで本を読んでいた。


夕飯を作るのもまだ、一時間くらい時間がある。


昂の部屋は何度入っても緊張する。


ゲームを始める前に、親にメールを入れる。


{今日は昂の家でご飯を食べるので帰るのが遅くなると思います}


そう、打って送信するとすぐに携帯の電源を切った。


昂の家で話はしたくない。
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