初恋の君は俺を忘れてしまいました。
―ピッー


私も隅で見ている・・・わけにもいかず、私の目の前には私がドリブルしているボールを狙っている昂。


どうしても一つくらい昂に勝ちたくて猛練習したバスケ。


放課後、女子バスケ部の子に特訓してもらった成果を今出すところ・・・なんだけど。


昂になかなか隙が無くて私は考え中。


「・・・い」


「え?」


ドリブルの音でなかなか昂の声が聞こえない。


「右側が甘い」


「は?」


「・・・じゃ、もらってく」


昂はそう私だけに聞こえるように捨て台詞をはき、私のほとんど後ろにあったボールを一瞬で


奪って私が向かっていたゴールの反対側のゴールへ。


私のチームの子たちを次々に抜いていき、最後はダンクシュート。


私の身長を大幅に上回る背丈や、ジャンプ力。


バスケ部の子たちでも敵うかどうか。


58対70で昂たちの勝利。


(がんばったほうだと思うけどな)


ガッツポーズをしながら笑っている昂の姿に微笑んだのは私だけの秘密にしておこう。
< 8 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop