翡翠の王冠 Ⅰ


「だ、れ…?」


恐怖に声を震わせ男を見た。


「そんな震えた声出されちゃ、抑えるもんも抑えられねーじゃねーか。」


そう言って男はニヤニヤと嫌らしく顔を歪ませる。



「いや!」


逃げるように後ずさったが縛られた手首を掴まれ、ドサッという音ともに寝具の上に組み敷かれた。

そして口元を覆っていた布を下へ下げられる。


「なんで、こんなことするの!」


覆いかぶさってくる男に身を捩(よじ)るが、すぐに身動きできないように寝具に縫い付けられる。


「や!」


首筋に男が吸い付く感覚がして、その気持ち悪さにギュッと瞼を閉じた。


今まで父である皇帝以外の男とまともに話したことすらないナディアにとって、これはありえない事態である。


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