翡翠の王冠 Ⅰ
「そうカッカするな、シャヒーン。おめぇにも味見させてやるからよ。」
「だからそうじゃなくて、売りもんを傷物にしたら値段が下がるって言ってるんですよ!」
低い野生的な声の男を、シャヒーンと呼ばれたもう一人の男が窘(たしな)めている。
「だってよー。あんな上玉なかなかお目にかかれねーぞ?
今抱かないと一生抱けねーよ。」
ナディアは男のそんな言葉に顔を青く染める。
…女ってわたしのことじゃないよね?
「本当にあなたは…。
どんな女を抱いたって同じですよ。だから商品には手を出させません。」
「おめぇは本当に頭がかてぇーな。」
シャヒーンという男の言葉に不満そうな声を零す男。
彼がさっきお頭と呼ばれていた男だろうか。