イジワル上司に恋をして(ミルククラウン)【番外編】
「ゆっくり堪能させてもらう」
とあるホテルのデザートブッフェ。
それに目を輝かせるのは当然ながら女ばかり。

オレは甘いモンなんてなくてもいい人間だから、その満面の笑みの気持ちがさっぱりわからない。

……そんなオレが、じゃあなぜここにいるのか。


「うわ……すごい種類のスイーツ!!」


――答えは簡単。


「じゃ!遠慮なくいただきまーす!」


なの花の機嫌を取るためだ。


「ヤバイッ……おいひぃ……」
「バカか。んなモンくらいで泣きそうになってんじゃねぇ」


頬づえをついて、コーヒーカップを片手に向かいに座るなの花に呆れた声を出す。
もぐもぐと、恥じらうことなく大きな口にデザートを放り込む姿は正直笑える。……いや、バカにした意味じゃなく。


「だって!こんなとこ、なかなか来たくても機会ないし!しかもごちそうしてくれるっていうんだから美味しさ倍増にもなりますって」


コイツは甘いモン与えりゃ、いっつもこんな顔すんのか。コドモか。
あぁ、事実コドモだったな。


カチャッと一口飲んだコーヒーをソーサーに戻し、何気なく店内を見渡す。

まー確かに人気ありそうだな。
レストラン自体の造りも凝ってるし、デザートひとつひとつも手抜きしてない感じだ。

足を組み、再び目の前のヤツに視線を戻す。
すると、ちょっと渋い顔をしてるからなんだろうと目を凝らした。
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